異常精子!?食を見直す時代!食品添加物と健康の関係は?
2020/12/28
最近になって食の問題がよくクローズアップされている。
「食の問題」と一口にいっても色んなものが存在する。今回は食品添加物と健康への影響について書いてみる。
以下の図は、精子の健康状態を表している。左が正常な精子であり、それ以外は奇形精子(形態不良精子)と呼ばれるものである。
1998年に日本不妊学会で森本義晴先生が発表したデータでは、健康な男性60人、平均年齢21歳の調査をしたところ、60人中58人が精子異常であったとのこと。
これらの情報はネット上でも、かなり情報が流れている。60人中58人の精子が奇形であったと安易に解釈され、過剰な恐怖心を煽っているようにも見えるので、注釈する。一般的に奇形精子というものはどの男性にもある割合で存在するもので、これらは受精に至らない。不妊治療などで、男性の精液検査での検査項目は、精液濃度、運動率、奇形率となっており、奇形率に関しては85%未満であれば自然妊娠も可能と言われている。もちろん奇形率が低ければ低いほど良いのであるが、正常な人でも奇形率0%ということはありえないとのこと。
ということで、今回の60人中58人の精子異常というのは奇形率が異常に高かったり精子濃度(精子量)や運動率が異常に低かった人が58人と捉えたほうが正確であると思われる。
いずれにせよ、現代人には子孫繁栄能力に支障のある人がかなり増えていることは間違いないであろう。これらの健康を脅かす、その原因に着目しよう。
上記の原因のひとつとして、「食品添加物の影響」が問われている。今回の実験では平均年齢21歳という若い被験者の食事を調べたところ、8割の人がカップ麺とハンバーガーを常食していたとのことである。かなりの食品添加物を摂取していたと考えられるのだ。
全てが人体への安全性を確認したものを国は認可しているということだが…
食品添加物とは?
食品添加物とは食品製造時に添加する物質のことであり、食品メーカーの企業利益追求のなかで「量産しやすさ」や「便利さ」を担う物質である。もちろん全てが悪ではなく、その恩恵を受けていることも事実である。
例えば、缶詰みかんの薄皮取りには食品添加物である「塩酸」が使われている。揮発性が高い塩酸で皮を溶かした後に、水酸化ナトリウム溶液で中和して残留してなければ、原材料表示に記載は不要なのだ。もしこれらが表記されていれば購入を控えるであろう。
食品添加物の用途や分類は以下のようなものである。
主な用途
- 食品製造および加工のために必要な製造用剤
- 風味や外観、色合いをよくするための甘味料、着色料、香料など
- 保存性を良くする保存料、酸化防止剤など
- 栄養成分を強化する栄養強化剤
食品衛生法規制上の分類
- 指定添加物(447品目:情報更新によって追加・削除される)
- 既存添加物(365品目:これ以上は増えないが減ることはある)
- 天然香料(約600品目)
- 一般飲食物添加物(約700品目)
日本で認可されている添加物は全てあわせると約2000種類。
世界的には国で認可されている化学合成添加物を国別で比較すると、日本:351品目、アメリカ:133品目、ドイツ:64品目、フランス:32品目、イギリス:21品目であり数字上は日本が最も食品添加物消費国家のようであるが、各国の食品添加物のルールや定義が違うこともあり、一概にこれらの数字だけで判断すべきではない状況もある。
日本だけしか認可されていない食品添加物も!?
ただし色々な大人の事情があるのか、日本だけしか認可されていないような劇物に近い薬品や食品添加物も以下のようにたくさんある。
デヒドロ酢酸ナトリウム、ニコチン酸アミド、亜硫酸水素ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、過酸化ベイゾル、臭素酸カリウム、過酸化水素、食用赤色102号、104号、106号、銅クロロフィリンナトリウム、硫酸銅…などなど
海外諸国では認可されていないものが認可されているということは、安全であるという線引が違うということ。逆にいうと、国によっては安全でない可能性があると判断しているものである。
どれくらいの食品添加物を摂取してるのか??
一般的な日本人が一日に摂取する食品添加物の量は平均10グラム。一年で4kgということになる。個人差はあるものの相当な量である。(出典:「食品の裏側」安部司著 東洋経済新聞社)
例えば、以下の様な食事の場合、これだけの食品添加物が使われていることになる。
保存料などは殺菌性が強く、体内で必要とする腸内細菌を殺したり繁殖を阻害する危険性がある。
安全性の確認方法とは??
もちろん、食品添加物は国が安全性を確認しているが、問題は検査方法である。現在の検査は動物実験(人道的に人体実験は不可)であるが、その検査期間は
28日・90日・長くて365日
この3種類のデータのみ。
その後、どのように蓄積され影響があるのかないのか?という検証は無いに等しい検査方法なのだ。
また検査はひとつの食品添加物単体で行われるため、複合した場合の検証がすべて行われているわけではない。
対処法は??
世の中の食品は、比較的安価で見た目がよく腐りにくい食品を求めている現状であり、知識がなければ、一般消費者は当たり前のようにそれを手にしている。
現在、食品添加物をすべてなくすことは、ほぼ不可能である。その前に必要なことは、一人一人が個々の責任において、知識を持ち、自らの食を選ぶしかないのである。
「知らなかった」のではなく、より深く「知る」ことと「知らせる」ことが重要であると思う。これを機に興味を持つ人が増えたら幸いである。