腸内フローラの乱れが糖尿病を悪化!食物繊維が効果的!デブ菌とヤセ菌でダイエットも!
2020/12/28
腸内には、ビフィズス菌や乳酸菌などの「善玉菌」とブドウ球菌やウェルシュ菌などの「悪玉菌」、大部分を占める「日和見菌」で構成されている。
この構成のことを『腸内フローラ』と呼んでおり、3種類の腸内細菌の乱れ、悪玉菌が活性化すると様々な健康リスクがあると分かってきており、腸疾患、糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、動脈硬化症など様々な疾患の発症に関係すると考えられている。
腸内フローラを日本語で言えば、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)となる。「叢」=「くさむら」である。「くさむら」には「植物」や「虫」、「小動物」などいろんな生物で構成された”場所”で大きな意味ではその地域の生態系に必要な”場所”でもある。腸は人間の体にとって必要で”非常に重要な場所”であり、そこには善玉菌も悪玉菌も日和見菌もすべて必要なバランスで機能しているという検証が進んでいる、ということだ。
2型糖尿病患者は腸内フローラが乱れ!?
2014年、順天堂大学医学部の研究で2型糖尿病患者では腸内フローラが乱れていることを突き止めた。腸内フローラが乱れると本来腸内の中にいる腸内細菌が生きたまま血中に入り込み、体内に炎症を起こし血糖値を下げるインスリンの分泌が低下することが解明。炎症とは、細菌やキズ、刺激物などに対して体内の免疫機能が反応して起こり、体の正常な防衛作用だが、この炎症が過度に長引くことで体に悪影響を及ぼすようだ。
2015年、大阪大学の研究チームが、脂肪に炎症を引き起こすタンパク質を発見し、脂肪の炎症が糖尿病の原因となることを解明。この研究では、肥満になると脂肪組織で炎症が起こり、炎症に関係する物質が体内に増えることでインスリンの効きが悪くなることを突き詰めた。
腸内に「デブ菌」を持っていると太りやすい!
理化学研究所・辨野義己先生は、腸内細菌には、消化されたものを体内に溜め込んでしまう菌類「ファーミキューテス類」=俗称「デブ菌」についての研究を行っている。
先生によると、肥満の原因として食べ過ぎや運動不足以外のもう一つの原因は「腸内細菌」のひとつである「デブ菌」の量とのこと。これが多いと体に必要ないものを便として排泄されずに、体に吸収してしまう。
「デブ菌」は誰もが持っているが、どんな菌であるのかは、まだ詳細が分かっていないとのこと。アメリカではデブ菌を移植された人が太りだした(怖っ)という実験結果もあるが、「デブ菌」は肉親からしか感染しないため、太っている母親の子供は太る可能性が高いのだとか。
また腸内にはバクテロイデーテス類という俗称「ヤセ菌」も存在している。これらは「デブ菌」に反して健康的な体をつくるために働く。理想的な腸内バランスは、「デブ菌」4割:「ヤセ菌」6割とのこと。
腸内フローラはコントロール可能!?
腸内細菌は毎日のように変化していて、食事や運動によってコントロールすることが可能。たとえば、発酵食品を食べたり酵素飲料を飲んでいると、腸内細菌のバランスが変わり、その結果としてウンチの状態が変わってくる。肥満の腸内細菌だけを減らす方法は、まだ解明されていないが、食事の内容を見直すことで腸内細菌全体のバランスを改善すれば、肥満の悪循環から抜け出すことが可能なはずである。
腸内フローラを整える食べ物
お肉や脂肪は悪玉菌のエサになり、このような食べ物が続くと腸内環境がアルカリ性になり腸内フローラが乱れる原因になる。腸内フローラを整えるには、善玉菌であるビフィズス菌のエサになるオリゴ糖や食物繊維などの食べ物が必須。
ビフィズス菌などの善玉菌が増えると、酢酸や乳酸などの短鎖脂肪酸を生産し腸内環境が酸性になり、悪玉菌の活性化を抑え、腸内フローラを整えることになる。
腸内フローラを整える食べ物
- オリゴ糖…玉ねぎ、ごぼう、白ネギ、アスパラガス
- 食物繊維…海藻、こんにゃく、納豆、野菜、きのこ
- 乳酸菌…チーズ、ヨーグルト、みそ、漬け物、甘酒
- 酵母菌…ワイン、日本酒
- こうじ菌…みそ、しょうゆ、米酢
- 納豆菌…納豆
デブ菌を減らす最も効果的な食べ物は「納豆」とのこと。
糖尿病・肥満には食物繊維が有効!?
糖尿病とは、血糖値を下げる働きをするインスリンというホルモンが正常に機能しなくなり、その結果としてブドウ糖がエネルギーを必要としている細胞に運ばれなくなり、血液中にブドウ糖が溜まってしまう病気。
食物繊維はコレステロールを体外に排出し、腸内を刺激してビフィズス菌の繁殖を促す作用があり、自然にお通じも良くなる。さらに食物繊維は、食後の血糖値の上昇を抑える効果があり、糖質の吸収が緩やかになるので、インスリンも少ない量ですむという、糖尿病にはとても効果的である。
まとめ
結論としては、地域に必要な「くさむら」=人間に必要な「腸内環境」が、いかに健康にとって重要な『場所』であるのか、そしてそれを大切にする「食」の重要性に気づく今日この頃であった…