油の話!取るべき「良い脂肪」とは?ダイエット効果も!?
2021/10/26
「ダイエット」というと興味のある方は非常に多いはず。それだけ健康面・美容面で需要の多いこのワード。矛盾しているようだが、体重を落とすために必要な栄養素のひとつ、それは「脂肪」。今回は脂肪の話をメインに、ダイエットと脂肪の関係についても触れてみる。
脂肪の働き
脂肪は、炭水化物(糖質)、タンパク質とともに3大栄養素のひとつであり、以下の様な働きがある。
- 活動するためのエネルギー源
- 細胞膜を形成する栄養素、一つ一つの細胞を元気に
- 脳、脊髄、末梢神経の無くてはならない栄養素
- 体内のホルモンの材料、男性女性ホルモンは筋肉脂肪バランスを最適化
- 皮膚に潤いを与える
- 脂溶性(油にしか溶けない)ビタミン(A,D,E,K)の吸収
など、いろいろな働きをしている。
油はカラダにとって非常に重要な栄養素でありながら、取り過ぎは良くない=カラダに悪いもの、というイメージがある。「カラダにとって質の悪い油」と「質の良いカラダに必要な油」があるのだ。
カラダに悪い油たちとは!?
まずはカラダに悪い、質の悪い油とは、どのようなものなのか?
大きく分けると
- 酸化した油
- トランス脂肪酸
- 過剰なリノール酸油
となる。ひとつひとつ説明しよう。
酸化した油
油は基本的に酸化しやすく、空気に長時間ふれているだけで酸化していく。また高温で加熱すればかなりのスピードで酸化を増していく。酸化した油は非常に危険で、大量の活性酸素(活性酸素の記事はこちら)を生み出すことになり、様々な悪影響のもとになる。酸化した油を口にすることで、体内においても脂質酸化は進行し続ける形となり、血中の脂質酸化は皮膚に湿疹をもたらし、アトピーなどとして表面化するのだ。
いかに健康に良いとされる油でも、できる限り新鮮さを保ち、体内での酸化進行を防ぐことが重要なのだ。なるべく加熱を避け、新しい油を摂取するようにしよう。
逆に新鮮な油は、血液が固形化しにくくサラサラの状態を維持し、血中コレステロールを減らしてくれることになるのだ。
トランス脂肪酸
トランス脂肪酸とは、通常、液体の油に水素を添加して固形化した自然界には存在しない、便利な油のこと。
代表的なものとしては、マーガリンやショートニングなどがある。
出典:Youtubeナチュラルフレンズ
自然界に存在しない油を人間の体内にいれることで、分解代謝することが難しく、大量のビタミンやミネラル、消化酵素が消費されることにもなる。酸化した油と同様に「活性酸素」を大量に創りだすことにつながってしまう。さらに悪玉コレステロール(LDL)や中性脂肪を増やし、善玉コレステロール(HDL)を減少させてしまうのだ。
このような理由から世界各国で規制が始まっている油なのである。
過剰なリノール酸油
リノール酸オイル(オメガ-6系油)として代表的なものは、植物性のサラダ油やべにばな油など。人体内で合成することができない必須脂肪酸であり、コレステロール値を下げる作用はあるものの、過剰にとることで弊害がある。
油だけでなくスナック菓子、大豆や小麦、米などの穀物にも多く含まれており、知らず知らずのうちに大量に摂取してしまいがちな油であるのだ。
リノール酸が過剰になると以下の様な悪影響がある
- 血液がドロドロに
- 高血圧
- 脂肪の貯蓄
- 喘息
- 免疫過剰反応(アトピー性皮膚炎など)
- 炎症促進作用
- 精神不安定
- 記憶・学習能力低下
また、一般的に使用される安価なリノール酸油のほとんどは、農薬や除草剤を大量に使用した遺伝子組み換えされた大豆や菜種、コーンなどから抽出したものが多く、危険性が問われている。特に除草剤によるダイオキシンが濃縮されている危険性が高いとの声もある。
カラダに良い強力な油
ダイエットに良い油はオメガ3系(リノレン酸・EPA・DHA)
「脂肪をとると減量に役立つ」というと、矛盾を感じるかもしれないが、油性マジックの落書きを落とすには油性のものが必要であるように、カラダの余分な脂肪は脂肪分でしか溶かせないのである。オメガ3は中性脂肪や過酸化脂肪の溶解の働きをすることがわかっており、美容面はもちろん健康面で非常に重要な油のひとつである。
リノレン酸って!?
リノレン酸という脂肪酸は、オメガ3系列の多価不飽和脂肪酸で、体内で合成できないため食品からしか摂取できない。体内でEPA、DHAへと代謝される。アトピー性皮膚炎は、リノール酸の過剰摂取により発症するが、これらのアレルギー症状を解消する最も効果的な方法は、リノレン酸を摂取することである。リノール酸を摂取するときは必ず同時にリノレン酸も一緒に摂取することが望ましく、日本人の脂肪酸バランスは、
リノール酸:リノレン酸=4:1
がゴールデンバランスと言われている。このようなバランスの油を随時使用することは重要。
リノレン酸のカラダへの影響
- がん細胞の増殖抑制
- 血圧の低下
- 血液の循環を良くする
リノレン酸が含まれる主な食品
しそ油、エゴマ油、あまに油、菜種油、ひまわり油、サラダ油 etc…
EPAって!?
EPAは、リノレン酸を体内で代謝されるとできる。俗にいう魚の脂であり、主に白身魚よりもイワシやサバ、マグロの刺身なら赤身よりもトロの方が効果的に含まれている。
EPAのカラダへの影響
- 血管を拡張する作用
- 血液循環をよくする
- アレルギー症状の予防と治療
- 慢性関節炎など炎症性疾患にも効果的
過剰症としては血液が凝固しにくくなり止血できなくなる可能性あり
EPAがふくまれる主な食品
すじこ、養殖はまち、きんき、まいわし、本マグロ(トロ)、さば、養殖まだい、ぶり etc..
DHAって?
リノレン酸を摂取することで体内でEPAを経て合成される。脳や神経組織に非常に多く含まれており、脳や神経組織の発育や維持管理に重要な役割を果たしている。昔から日本の子供たちは欧米の子供より知能指数が高いと言われるが、魚の食文化から、こういった状況になっているものの、最近では食の欧米化により、摂取量が減ってきているとのこと。
DHAのカラダへの影響
- 脳や神経組織の働きを良くする
- コレステロールの悪玉を減らし、善玉を増やす
- 現代人の様々な病気への効果(情報伝達など神経経路の改善)
DHAが含まれる主な食品
本マグロ(トロ)、すじこ、養殖まだい、ぶり、サバ、養殖はまち、はも、うなぎ蒲焼、きんき、さんま、さわら、まいわし etc..
オレイン酸
代表的なものとしては、オリーブ油やキャノーラ油。
オメガ9系、不飽和脂肪酸のなかで最も酸化に強い油であり、体内で過酸化脂質の発生を抑える効果がある。また悪玉コレステロール抑制や軟便化効果があったり、胃酸分泌をおさえることで胃もたれなどの解消にも役立つ。
オレイン酸のカラダへの影響
- コレステロールの上昇を抑える
- 胃酸の分泌を抑える
- 便通がよくなるので、ダイエット時の脂肪補給には適切
- 皮脂に含まれる油であり肌の健康維持
- 酸化しにくいので加熱料理向き
オレイン酸が含まれる主な食品
オリーブ油、菜種油(キャノーラ)、ひまわり油、サフラワー油、牛脂、落花生油、豚脂、メカジキ、シシャモ、うなぎ蒲焼、牛ひき肉、豚肩赤肉、生ハム、ナッツ類、アボカド etc..
プチ知識:動物性脂肪と植物性脂肪
これまでの油の話の中で、植物性・動物性というくくりではなかったので、少し説明。
植物性脂肪には大豆油、菜種油、こめ油、べにばな油、オリーブ油などがあり、動物性脂肪には牛脂、ラード(豚脂)、バターなどがある。植物性脂肪には不飽和脂肪酸とよばれるリノール酸・リノレン酸・オレイン酸を多く含み、動物性脂肪には飽和脂肪酸とよばれるパルミチン酸・ステアリン酸などを多く含む。どの脂肪酸もエネルギー源となる。
動物性脂肪の融点は高く常温で白く個体として存在しており、摂取することでエネルギー源になるが、過剰摂取は体内の中性脂肪やコレステロール値をあげることになる(牛や豚の体温は人間よりも高く、人体の体温では固形化しやすい)。
魚の油EPA・DHAは植物性!?
EPA・DHAは魚に多く含まれる脂肪であり、魚という動物の油であるが、植物性脂肪に分類される。その理由として、海中生物の食物連鎖が植物プランクトンからはじまっており、その植物プランクトンにαリノレン酸が多く含まれており、それを動物プランクトンが食べることで、その体内でαリノレン酸がEPA・DHAに代謝される。そして小魚がその動物プランクトンを食べることで、さらにEPA・DHAを蓄積し、その小魚を中型魚が食べ、さらにそれを大型魚が食べという食物連鎖のなかでEPA・DHAを多量に蓄積した魚を人間が食すという流れとなる。
これらの元が植物プランクトンのαリノレン酸であることから、植物性脂肪に分類されているのである。
ちなみに植物性脂肪のリノレン酸を摂取する場合は、人間の体内でEPA・DHAに代謝されるわけだが、魚から直接EPA・DHAを摂取する場合と比べるとはるかに少量であり、EPA・DHAを摂取する場合、魚から摂取することが最も効率的である。
まとめ
ダイエットや健康・美容によい脂肪の考え方は、悪い油と良い油の知識を持つことから。そして悪いものをとらずに良い物へ変えていくことが非常に重要なのである。
NGな油
- 酸化した油
- トランス脂肪酸
- 過剰なリノール酸
OKな油
- オメガ3系油(リノレン酸、EPA・DHA)
- リノール酸:リノレン酸=4:1
- オレイン酸
おすすめの油
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